2014年11月18日

2014年11月配信分 晩秋〜初冬 漆紅葉



晩秋から初冬、

漆(うるし)が鮮やかに紅葉する。

見た目の鮮やかさに反して樹液に触れると、かぶれるため、

幼い頃はよく注意されたものだった。



しかし古人はこの樹液で、

蒔絵(まきえ)、

沈金(ちんきん)、

螺鈿(らでん)、

拭き漆(ふきうるし)、など様々な技法を生み出し、

日用品から美術品に至るまで数多くのものを作り出した。

その工程は極めて繊細で、かつ気の遠くなるような時間が必要とされた。

一つ一つの工程、また、一筆一筆に職人の集中力、

いや意地と言うべきものだろうか、貨幣価値など飛び越えた何かが伺える。

使えば使うほど、朽ちていくのではなく、

さらなる命を吹き込まれていくかの如く、深みを増す。

祖父が使った硯箱(すずりばこ)は、いまなお美しい。



機械化が進む現代において、見た目は同じように見えても、

長年の使用には堪えられないものや、

美術品として深みのないものを大量生産するようになってしまった。

またそれらを私たちは使用し、欠ければ捨てるといった有様で、

物に対しての愛着が希薄になってきてしまっている。



本来日本人は、我慢強く、手先が器用な民族だと思う。

しかし、その優れた特徴を何かと引き換えた。

大量生産、スピード、コストダウン・・・

それらによって自ら道を違えてしまったように思える。



漆塗りなど伝統工芸は、現在数少ない職人で支えられている。

まだ途絶えて、消えてなくなってしまったのではない。

日本の素晴らしい工芸が消えて無くなってしまわない様に、

今一度、本物の暖かみに目を向け触れてみる機会を設けてはどうだろうか。




漆の花言葉:尊い記憶・変動に耐えよう


posted by DO ART !! エッセイ集 at 00:00| Comment(0) | 坂本のサルサ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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